■一般質問を実施しました!(令和7年第4回市議会定例会)■
本日の市議会定例会において一般質問を実施しました。
1 子供たちの学力向上のためのICT教育施策について
今回取り上げた「桃太郎電鉄」や「マインクラフト」等の人気ゲームは、これまで本市議会の一般質問では縁がなかったものと思います。若い世代の議員として新たな発想を用い、「学力向上にコミットする教育の推進」に資する方法論を皆様と共に考えたいと思います。
2 本市における城跡等の活用について
本テーマは、昨年4月の補欠選挙出馬の際に「城跡整備による『城好き』の聖地づくり」としてリーフレットに記載していたもので、ようやく少しだけ形にできました。好評を博している集中曝涼と併せて、地域活性化のツールにするよう勉強を重ねていきます。
3 三美地区及び野口平地区における市道について
日々の挨拶回りで地域の方々から頂戴した要望の中から、2つの地区の市道をピックアップしました。特に、野口平地区の「旗立て場十文字」については、長年にわたる懸案事項として、今後も現地の状況を注視します。
ご多忙中にもかかわらず、傍聴にお越しいただいた皆様に心から感謝申し上げます。
改めまして、地域の皆様方の思いや寄せられた期待に全力で応えられるよう努力したいと思います。
ここに一般質問の全文を掲載します。
引き続き頑張って参りますので、よろしくお願いいたします。
一般質問(令和7年第4回市議会定例会)
1 子供たちの学力向上のためのICT教育施策について
現在の世界を見渡すと、AI(人工知能)の活躍の場がどんどん広がっており、まさにAI時代の到来とも言われています。このことは未来を担う子供たちを育てる教育の分野でも例外ではありません。このような中で、本市でも既に小中学校の教材としてAIドリルを採用するなど、時代の流れを見据えつつ、新たな教育のあり方を模索しているところかと思います。今回は、常陸大宮の子供たちの更なる学力向上のためにも、ICTを中心とした本市の教育施策について考えていきます。
(1)AIドリルの活用状況とその効果
AIドリルとは、児童生徒一人ひとりの学習を人工知能の技術によってサポートするデジタル教材を指します。誰しも夏休みの宿題などで漢字や算数の紙のドリルを解いた経験があるかと思います。従来の紙のドリルと大きく異なるのは、児童生徒一人ひとりの正答率や解答パターンをリアルタイムで分析し、個々の理解度に合わせて問題を自動選択できる点です。例えば、ある単元で正答率が低い場合は基礎的な問題を出題し、高い場合は応用問題へと段階的なレベルアップが可能です。文部科学省も推進するGIGAスクール構想の一環として全国的に導入が進んでいます。
一方、本市では、令和7年度施政方針にて4つの政策の柱が示されており、3つ目の柱が「学力向上にコミットする教育の推進」です。施政方針の中では、学習内容の到達度を客観的に把握するとともに、教科間の差や経年による学力の伸びを確認し、蓄積されたデータを活用しつつ、個々に応じた効果的な学習指導などと併せて「確かな学力育成プロジェクト」の充実・強化を継続するとうたわれています。
まさに、AIドリルは、児童生徒一人ひとりの理解度に合わせることで、個々に応じた効果的な学習の機会を提供できるため、「学力向上にコミットする教育の推進」にマッチしており、今後もより一層の活用が求められます。
そこで、実際に本市の教育現場でAIドリルがどのように活用されているのか、その効果も併せて、教育部長にお伺いします。
教育部長
AIドリルの活用状況とその効果についてお答えいたします。
本市においては、国のGIGAスクール構想を受け、学習支援デジタルコンテンツとしまして、令和3年度からAIドリル(eライブラリ)、令和4年度から、講義動画(スタディサプリ)を児童・生徒用のタブレットに導入しております。
AIドリルの活用状況としましては、各授業時間の終わりに練習問題として活用したり、学習内容のまとめの段階で配信された確認問題を解いたり、家庭学習でドリルとして使用したりしております。講義動画は、授業の始めで学習内容を端的にとらえるために使用したり、家庭で既習事項の学び直しや予習に使用したりしています。
問題に取り組むと、誤答の場合、解答のポイントがすぐ表示され、間違いをそのままにせず、「なぜ間違えたのか」を考えることができます。また、個々の習熟度に応じて自動構成された問題が配信され、児童生徒は、自分のペースに併せて問題を解くことができるので、課題を克服しながら、個に応じた力を身に付けていけるものと考えております。
AIの強みを活かし、一人ひとりに最適化された教育の実現に努めていることが理解できました。
(2)ICTに関する教職員の研修
令和5年3月の第4回定例会にて、当時の教育部長ご答弁の中で、タブレット端末の利用における課題として、教員のタブレットの機能の活用技能に差があることが挙げられていました。同時に、課題の解決策として、教員を対象に研修会を重ね、共通の理解を図り、各学校にICT支援員を配置するなど、市内全ての教員が不安なくタブレットを活用して学習指導が行えるようにする、というご答弁もありました。
私は一昨月、10月下旬に市立大宮北小学校にお伺いし、小学4年生の国語と6年生の道徳の授業を見学しました。その際に印象的だったのは、児童がタブレット端末を操る手際の良さでした。ICTが授業にすっかり定着している状態が見て取れました。また、授業の進行という点では、ICT支援員が学習用タブレット端末の操作等について、児童をきめ細やかにサポートする様子も拝見できました。さらには、担任の教員も違和感なくICTを使いこなしており、お話を伺うと自分なりに試行錯誤しながら児童に分かりやすいICT活用を進めているとのことでした。
一方で、教員の方々にもICTを苦手とされるような場合が少なからずあると推察します。個々人に任せる部分は今後も重要ですが、本市として全体的なレベルアップ、底上げを図っていく必要性もあります。
そこで、ICTに関する教職員の研修の現状について、教育部長にお伺いします。
教育部長
ICTに関する教職員の研修について、お答えいたします。
令和3年9月にGIGAスクール構想に基づく1人1台タブレット型端末が導入されました。導入時は、教員のタブレットの活用技能に課題がありましたが、市内の教員が不安なくタブレットを活用して学習指導が行えるよう、教育委員会主催の研修会の開催、ICT支援員の各校への配置、ICT支援員による各校に合わせた実践的なサポートや校内での研修の実施などを継続して行ってまいりました。また、ICT担当教員を中心に県においての研修会や授業参観等から学んだ技術を学校内で伝達するなど各教員が研鑽に励んでいるところです。
具体的な内容を申し上げますと、「授業において興味・関心を高めるよう最初の段階で映像等を提示したり」、「個人やグループで調べる場面では、ワークシートをタブレット上で配付・回収したり」、「家庭学習の課題を配信したり」など様々な技能が身に付いてきている状況となっております。
これらの取り組みにより、令和7年度全国学力・学習状況調査において「タブレットなどのICT機器を、授業でどの程度活用しましたか」という質問では「ほぼ毎日活用している」と回答した教員の割合は89.9%となっており、全国平均の84.8%を上回る結果となっております。
教育委員会といたしましては、今後も子どもたちの学力向上に向けたICTの活用における、教員の研修体制の充実に取り組んでまいります。
ご答弁のとおり、関係各位のご尽力により、教育現場にICTが定着しつつあることが分かります。模範となる良好事例の展開を進めつつ、より一層のレベルアップを図っていただければ幸いです。
(3)デジタル教科書の正式採用の可能性
本年9月25日付茨城新聞の記事によれば、同月24日の中央教育審議会の作業部会で、従来の紙媒体の教科書のみならず、デジタルの教科書も正式なものとする方針が決定されました。
紙とデジタルを組み合わせた「ハイブリッド教科書」も認め、各自治体の教育委員会等が紙とデジタル、ハイブリッドの3種類から選べるようになるようです。文部科学省は、次期学習指導要領の適用が想定される令和12年度から順次デジタルやハイブリッドの教科書も導入できるようにする計画です。
これはまだ新聞報道の段階であり、今後の教科書の導入に係る詳細なプロセスは未定だと思いますが、紙とデジタル、ハイブリッドの3種類から教科書を選択するとなれば、本市の教育委員会としても難しい決断を迫られることになろうかと思います。
なお、現在学校で使用されタブレット端末などで表示されるデジタル教科書は「代替教材」という位置づけであり、国による検定の対象外です。
まずは、本市におけるデジタル教科書の使用状況について、教育部長にお伺いします。
教育部長
デジタル教科書の使用状況について、お答えいたします。
文部科学省は、児童・生徒が使用する学習者用デジタル教科書を、次期指導要領の改訂に合わせて導入する方針としております。これまで、令和元年度から学習者用デジタル教科書を「教科書代替教材」として授業において使用できるようになり、令和3年度からは、課題等の解決策を明らかにするための実証事業の取組が行われております。
本市におきましても、この取組により、英語、算数、数学等の学習者用デジタル教科書が提供されております。令和7年度の提供先の学校につきましては、英語が小学5年生から中学3年生までの全学校へ、算数が市内小学校7校へ、数学が市内中学校2校へ提供されております。
提供されたデジタル教科書を教材等と効果的に組み合わせて活用することで、例えば、英語の発音を自分のペースで何度も確認することが出来たり、算数の図形やグラフを立体的に動かし試行錯誤して考えたりするなど、児童生徒の学びの幅が広がったと感じております。さらに、ルビ表示や文字の拡大、色変更等が可能ですので、児童生徒の学習上の困難さを低減する効果も得られております。
本市でもデジタル教科書を使用した実証事業が行われており、複数の教科で成果が上がっているものと理解しました。
再質問です。紙の教科書とデジタル教科書のメリット・デメリットについて、教育部長にお伺いします。
教育部長
お答えいたします。
紙の教科書のメリットにつきましては、見たいページをすぐに開けること、書き込みがしやすく自分の学んだことを残しやすいこと、教科書の内容を捉えやすいことなどが挙げられます。一方で、持ち運びやすさや、情報の集めやすさ、一度に多くの資料を見比べること等につきましては、デジタル教科書の方が使いやすく感じる場合もあると考えられます。
一方、デジタル教科書につきましては、先ほどご説明しましたように、教科書の拡大表示、文章の音声読み上げ、図形の回転などのシミュレーション機能等のメリットがあります。
デメリットとしましては、児童生徒が授業と関係ない操作に集中してしまうこと、教科書会社ごとに操作方法が異なること、教科書の導入に係る設定作業が増加すること、また、教科書採択時には紙の教科書だけでなく、デジタル教科書に記載されている二次元コードの内容等も調査する必要があり、これまで以上に採択事務の負担が増加することなどが考えられます。
メリット・デメリットについて理解しました。教科書に限りませんが、デジタル社会の今、例えば漢字を手書きするような機会も段々と少なくなりつつあります。紙の大切さ、自分の頭で考えながら手を動かすことの重要性を踏まえ、今後の教科書の導入にあたってください。
(4)プログラミング教育の充実に向けて
①本市のプログラミング教育の内容
プログラミング教育とは、「プログラミング的思考」を育成する学習活動を指し、単にプログラミングの技術を習得するだけでなく、論理的に物事を考え、問題解決する力を育むことを目的としています。我が国では、小学校では令和2年度から、中学校は令和3年度から必修化されました。特定の教科として「プログラミング」という授業があるのではなく、算数、理科等の既存の教科や総合的な学習の時間で、プログラミング的思考を育む体験的な活動を行うことになっています。
さて、令和4年6月の第2回定例会における当時の教育部長ご答弁の中で、プログラミングについては、教科横断的に取り組むことが重視されており、各教科の教材として取り扱われているとのことでした。
具体的には、小学校6年生の算数「プログラミングを活用してグラフを書こう」の単元では、プログラムを実際に入力してのグラフ作成、また、同じく小学校6年生の理科では、「電気の利用」の単元で、自分で考えた命令や制御をコンピューターにさせることで、どのように制御したら電気が効率的に使えるかを体験する等の学習が行われているというご説明でした。
ICT技術が年々進歩する中で、令和4年の時点から3年以上が経過し、本市のプログラミング教育に変化があったのか、教育部長にお伺いします。
教育部長
本市のプログラミング教育の変化について、お答えいたします。
学校教育におけるプログラミング教育につきましては、学習指導要領に沿った取組を行っておりますので、基本的に大きな変化は無く、小学校5年生の算数における「多角形の作図」や小学校6年生の理科、中学校技術・家庭科の技術分野など各教科の教材として、教科横断的に取り組んでおります。
プログラミング的思考を育成するベーシックな内容で、学習指導要領どおりの取組みが行われているものと理解しました。
②児童生徒のプログラミング能力を伸ばすための提案
本年8月、ひたちなか市の商業施設で、人気アクションパズルゲーム「ぷよぷよ」を活用し、プログラミングの基礎を学ぶための講座が開かれました。このイベントを主催した「いばらきeスポーツ産業創造プロジェクト推進協議会」は、147の企業・団体で構成され、産学官の協力のもと、本県でのeスポーツ振興と産業化を目指し、普及と啓発につながるイベントを催し、地域活性化の活動を実施しています。
また、全国選抜小学生プログラミング大会というものがあり、先ほど述べたeスポーツの推進協議会の構成員でもある株式会社ユードムの名前を冠し、本県の県大会は「ユードムチャレンジカップ」と呼ばれています。主催は茨城新聞社、全国新聞社事業協議会で、後援は文部科学省、経済産業省、デジタル庁、茨城県、茨城県教育委員会など、国や県もバックアップしている大会です。「みんなの明るいみらいのために役立つようなアイデアがつまった未来志向の作品」をテーマに、県内の小学生から137件のプログラミング作品の応募があったとのことです。昨年度の特別賞の受賞例としては、目が不自由な方でも音声の指示でタイピングのできるプログラミング作品や、実際にロボットを操作しながら音楽の演奏とシンクロさせるプログラミング作品などがあったようです。
このたび本年度の県大会が行われたのですが、1次審査の結果、入賞作品が発表され、昨月、11月4日付茨城新聞に受賞者が掲載されました。嬉しい驚きですが、優秀賞13点のうち、1名が大宮小学校、もう1名が村田小学校の計2点が本市児童の作品ということで、これは本当に誇らしいことだと思います。
このような明るい兆しを今後も絶やさないことが重要で、そのためには先ほど述べたぷよぷよを活用したプログラミング講座も含め、児童生徒に様々な機会を提供することが不可欠と考えます。
そこで、授業の範囲を超えて子供たちが積極的にプログラミングの分野に参加できる環境づくりを本市がサポートできないかどうか、教育部長にお伺いします。
教育部長
児童生徒のプログラミング能力を伸ばすための提案について、お答えいたします。
全国選抜小学生プログラミング大会を初めとする児童生徒が参加できるプログラミング大会やプログラミングを学べる講座などは、各地で開催されていると伺っております。
教育委員会としましては、プログラミング能力を伸ばす様々な機会を提供することで、論理的思考力や創造力などを育む事が期待されることから、主催者側からチラシやポスターなどの案内があった場合には、それらを各校へ配布・周知することを通して、児童生徒がプログラミング分野の活動に参加する機会を得られるよう支援してまいります。
少しでも多くの児童生徒に興味を持ってもらえるよう、周知活動を進めていただければと思います。
(5)エデュテイメント促進の提案
エデュテイメントとは、教育を表すエデュケーションと娯楽を表すエンターテイメントを掛け合わせた言葉です。これは、楽しみながら学ぶ体験を通して知識を身につけていく方法として、近年全国の学校現場で注目されている取組みです。第一人者として知られる立命館小学校の主幹教諭でICT教育部長の正頭英和氏が昨年の茨城新聞でエデュテイメントに関する連載記事を執筆しておられました。その連載記事を読んで、私も初めてこの考え方を知り、大変興味を持ちました。
エデュテイメントの代表例として挙げられるのが、人気テレビゲームの「桃太郎電鉄」です。このゲームでは、プレイヤーが社長となって日本全国を鉄道で巡りながら物件を購入するなどして資産額を競います。昭和63年に第1作が誕生して以来、最新作の販売数が累計350万本を超す大ヒットタイトルとなりました。ここで注目すべきは、難読地名の読み方や、物件の収益率の計算など、教科書の枠組みにとらわれず学習できる可能性があり、ゲーム性のみならず教育の要素が含まれることが前々から指摘されていた点です。そして、令和5年1月、コナミデジタルエンタテインメントは学校で使えるゲーム『桃太郎電鉄 教育版Lite~日本っておもしろい!~』(通称『桃鉄 教育版』)をリリースしました。この開発には、先ほど述べたエデュテイメントの第一人者、正頭英和氏も関与しています。この『桃鉄 教育版』は、教育機関への無償提供が行われ、昨年6月の時点で実に全国7千校以上の小中学校などの授業で使用されているそうです。
また、これとは別に、『教育版マインクラフト』というエデュテイメントのゲームもあり、文部科学省のホームページでも紹介されています。同ホームページから引用しますと、ものづくりゲームの一種であるマインクラフトを、プログラミング教育・情報教育・協同学習などの教材として使えるようにした教育向けエディションです。マインクラフトの世界はすべてブロックで出来ていて、ブロックを壊して素材を手に入れ、その素材をもとに建物や家具などを作ったり、ブロックの組み合わせでオリジナルの世界を構築したり、その世界のなかを冒険したり、創意工夫してプログラミングしながら遊ぶことができるゲームです。
本年9月、日立市の商業施設でこのゲームを活用した探求型ワークショップ「マインクラフトで世界遺産を学ぼう」が開かれました。日立市内の小中学生約30人がマインクラフトを活用し、世界遺産の建造物などを仮想空間上で再現したそうです。これもまさにエデュテイメントの良さを活かした取組みだと思います。このワークショップは、先ほどの(3)プログラミング教育の充実に向けての箇所で取り上げた「いばらきeスポーツ産業創造プロジェクト推進協議会」が主催したものです。本県でもエデュテイメントの試みが広がりつつあることに注目すべきと考えます。
そこで、桃太郎電鉄やマインクラフト等のゲームをこれまで本市の小中学校などの授業で活用した実績があるのか、教育部長にお伺いします。
教育部長
エデュテイメント促進の提案について、お答えいたします。
「桃太郎電鉄 教育版」は、学校教育機関等へ無償で提供されているデジタル教材となっており、教育的な使用許可がありますので、申込をすれば、市内の小中学校においても活用することができる状況となっております。
本市における活用状況につきましては、市内一部の学校の特別支援学級において、社会科の授業で活用し、楽しみながら地理などの学習に役立てております。
一方で、「桃太郎電鉄 教育版」や「教育版 マインクラフト」などのゲームを使って授業を行うに当たっては、教科のねらいを達成させるために、どのような目的で行うのか、どのような場面で取り扱うことがより効果的な活用につながるのかを授業を担当する教員が十分に検討し、教材の研究をしていく必要があると考えます。
本市の現状としては、一部の特別支援学級で活用されているものと理解しました。いきなり授業カリキュラムに導入することはハードルが高いと思われるため、例えば、幾つかのモデル校で授業外の試みとして実施し、児童生徒の反応を見つつ検討することも一案です。また、桃太郎電鉄については、大阪府枚方市の教育委員会が市を挙げて熱心に取り組まれていますので、参考になるかと思います。
いずれにしましても、常陸大宮の子供たちの更なる学力向上を願うと同時に、心身ともにますます健康に成長して欲しいとの願いを込めて、次の質問に移ります。
2 本市における城跡等の活用について
このテーマについては、私自身、お城ファン・歴史愛好家の一人として、主に学生時代の頃、関東地方の城跡を巡ってきました。当時、特に土塁や堀だけの山城というのは、ごく少数の人が楽しむ趣味だったと思います。ところが、兵庫県朝来市の竹田城跡が「天空に浮かぶ城」としてテレビなどで広く紹介された平成25年以降、トレッキング感覚で山城歩きを楽しむ人が全国的に増え、「山城ブーム」が到来したとされます。それまで年間2~3万人で推移していた竹田城跡の来場者数は、ピーク時の平成26年に58万2,000人に達し、今年も10万人超となる見込みです。
一方で、本市もこのような流れと無縁ではなく、先日の集中曝涼で開催された「小田野城と周辺の歴史探索ツアー」では、朝一番乗りの参加者は、さいたま市の大宮から来られた方だったそうです。去年のツアーの朝一番乗りは東京都八王子市で、どちらも女性とのことでした。最近では、戦国武将を主人公とした漫画やゲームなどをきっかけにした、いわゆる「歴女」と呼ばれる若い女性の歴史ファンも増えており、無視できない存在と考えます。今回は、大きなポテンシャルを持つ本市の城跡に注目します。
(1)茨城城郭サミット県北編
①全体的な総括
昨年12月22日に常陸大宮市文化センターロゼホールの大ホールで、茨城城郭サミット県北編というイベントが開かれました。これは本市の教育委員会と茨城大学人文社会科学部、茨城県教育委員会の3機関が主催したものと承知しています。私も当日足を運びましたが、お城ファン・歴史愛好家が多数駆け付け、予想以上の盛り上がりを感じたことを覚えています。
茨城城郭サミット県北編の全体的な総括について、教育部長にお伺いします。
教育部長
茨城城郭サミット県北編について、お答えいたします。
茨城城郭サミットとは、茨城県教育委員会が主体となって平成30年度から5か年をかけて行った、茨城県中世城館跡総合調査の成果報告を目的とするもので、令和5年度に県央・県西編を笠間市において、令和6年度は県北編を常陸大宮市で開催し、令和7年度には県南・鹿行編が鹿嶋市で開催される予定となっています。
令和6年12月に、本市文化センター大ホールで行われた茨城城郭サミット県北編では、当日の入場者は800人を数え、パネルディスカッションでも多くの質問が飛び交うなど大変盛況に開催され、城館跡の持つ魅力を多くの方にお届けするとともに、本市を含めた茨城県北地域の歴史・文化について発信することができたものと認識しております。
入場者数が800人ということで、歴史関係のイベントとしては多くの方々にお越しいただけたのではないでしょうか。また、当サミットにおける県北は、本市の他に北茨城市・高萩市・日立市・ひたちなか市・那珂市・常陸太田市・大子町・東海村が範囲だそうです。この7市1町1村の中で、本市が開催地に選ばれたことも有意義であったと思います。
②茨城県中世城館跡総合調査への関与
そもそも茨城城郭サミット県北編のチラシには「2018年度から始まった「茨城県中世城館跡総合調査」が2023年3月に完了し、県域には1,135か所の中世城館跡が分布することが明らかになりました」という記載がありました。本県の城跡の数は実に1,000か所を超えており、その調査においては並々ならぬ苦労があったものと推察します。
そこで、茨城県中世城館跡総合調査への本市の関与について、教育部長にお伺いします。
教育部長
茨城県中世城館跡総合調査への関与について、お答えいたします。
茨城県中世城館跡総合調査につきましては、県内の中世城館の保護・保存と活用についての基礎的資料を得ることを目的とし、茨城県教育委員会が主体となって行ったものです。
調査に当たりましては、まず市町村教育委員会の持つ城館跡に関する情報を、調査カードとして集約し、整理するところから始まり、その後、城館跡に関する地名や伝承、文献・古文書などの調査を行いつつ、あわせて実地調査や測量を進めるなどしてまとめられたものです。本市においては、その当時、すでに市史編さん事業が進められていたこともあり、茨城県教育委員会が城館跡の情報を集約する段階から、速やかな情報提供ができ、その後の調査にも、城館跡の現地を案内するなど、十分に茨城県との連携を図ってまいりました。このことが、後の茨城城郭サミット県北編の開催にあたり、その開催地に選ばれた要因と考えております。
本市の関与について理解しました。茨城県教育委員会の取組みに本市が貢献され、サミットの開催地に選ばれたことは大変良いことであったと思います。
③茨城城郭サミット県北編における本市のPR
一方で、サミットの開催地に選ばれ、市外からも多数の人が来場したことを活かし、本市のPRを行うことができたのかが気がかりです。私も当日足を運び、本市の歴史や文化に関するパンフレットやチラシを入手することができ、それはそれとして意義のあることだと感じました。
しかしながら、歴史や文化以外の面で本市の魅力を伝える絶好のチャンスを逃すべきではありません。例えば、本市に人を呼び込む観点から積極的なPRのためにパンフレット配布などはされていましたでしょうか。
そこで、茨城城郭サミット県北編における本市のPRをどのように実行されたか、教育部長にお伺いします。
教育部長
茨城城郭サミット県北編における本市のPRについて、お答えいたします。
茨城城郭サミット県北編の開催にあたりましては、市外からの多くの来訪者が予想されたため、来訪者にはもれなく本市の文化財パンフレットやチラシなどを配布し、また、会場においては書籍の販売なども行ってまいりました。本市の歴史や文化などの魅力を知っていただく一助となったものと考えております。
あくまで歴史や文化のPRに留まる内容であったと理解しました。今後の本市の積極的なPRについては、後ほど(3)常陸大宮の集中曝涼-令和7年度常陸大宮市文化財公開-の中でご提案したいと思います。
(2)本市における城跡関連の活動団体
地方自治体における城跡の活用を考える際、一つの良好事例に挙げられるのが岐阜県可児市です。可児市では近年、城跡の魅力や価値に気づいた地域住民らが、城跡単位の団体をつくり、自分たちの地域に即したやり方で保全・活用に向けて活動しています。行政側は、城跡単位の活動がそれぞれ軌道に乗るようにサポートしつつ、活動団体同士を緩やかに連携させる体制を構築してきたということです。
可児市には、令和2年に放映されたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公明智光秀の生誕の地との説がある「明智城跡」、また、国史跡「美濃金山城跡」が存在するなど、本市とは背景が異なる点もありますが、行政の取組みとしては参考になる事例が多いと感じています。
①活動団体と本市関係部署との連携
本市でも可児市と同じく、地域住民主体で城跡の保存や整備の取組みを進めているケースがあります。例えば、小場地区では「小場城跡保存隊」が結成され、城跡の空堀を中心とした草刈り作業の実施、城跡までの案内板やパンフレットの設置を行っています。また、美和地域では「森と地域の調和を考える会」が「中世の城郭整備事業」として同地域に数多く残る城跡の整備を行い、特に、国道293号や県道長沢水戸線からも窺うことのできる案内板は、城跡にあまり興味のない一般の通行者にも存在感を放っています。そのほか、長倉地区の蒼泉寺近くにある長倉城跡では、地域住民のボランティアによる草刈り作業が行われています。
このように城跡の整備・維持を担っていただいている活動団体は、本市の貴重な文化財を保護していくうえで必要不可欠な存在です。
そこで、本市における城跡関連の活動団体に対する本市からの補助金の交付の状況について、教育部長にお伺いします。
教育部長
城跡関連の活動団体への補助金について、お答えいたします。
城跡関連の活動につきましては、地域の資源を活かして、地域を盛り上げるために地域独自に活動している団体は、お示しの団体を含め、市内にいくつかの団体が組織されていると伺っております。
その団体の中においても以前は、活動費用の一部を市により支援されていた団体があったことは確認しておりますが、現在は、城跡関連の活動に対する補助金等の交付は、行っていない状況となっております。
現在は城跡関連の活動団体への補助金等の交付はないものと理解しました。
一方で、補助金の交付という形でなくても、円滑な活動のための市からの便宜供与など様々な連携が重要になってくるものと思います。
再質問です。活動団体と本市関係部署との連携について、教育部長にお伺いします。
教育部長
お答えいたします。
文化スポーツ課において、案内看板の一部について、活動団体へ委託業務により設置するとした経緯はございます。また、令和6年度の城郭サミット県北編開催の折には、開催市として、サミット開催に協同で協力してまいりました。
さらに、美和支所におきましては、地域団体(森と地域の調和を考える会等)と連携し、歴史ある街並みや景観を活用したツアー等のイベントを開催しております。(チラシの作成など(小田野城ツアー))
地域団体の活動は、地域の資源を活かして、地域を盛り上げるために地域独自に活動しておりますが、地域が盛りあがることは本市全体の活性化にもつながってまいりますので、関係部署とも連携を図り取り組みが出来るよう検討してまいります。
今ご答弁のあった集中曝涼における「小田野城と周辺の歴史探索ツアー」では、「森と地域の調和を考える会」のメンバーから「移動用のバス3台を市の方で用意いただきとても助かった」との感謝の声を聞きました。具体的には、バスでの移動中に美和地域の名産などを参加者に説明することができるので、時間の使い方としても大変有意義だということでした。今後も連携を深めていただければと思います。
②史跡ガイド養成講座開催の提案
先ほど取り上げた可児市の事例を見ますと、地元で史跡ガイド養成講座を開催し、その受講修了者が実際にガイドとして活躍しているようです。「森と地域の調和を考える会」のメンバーにお尋ねしたところ、史跡ガイド養成講座に興味を示していただいており、「美和地域の知識も深めつつ、常陸大宮市全体の歴史にも詳しくなりたい」という声を聞きました。今後の人材育成のためにも積極的に検討すべきと思います。
そこで、本市として専門家を呼ぶ等、活動団体のメンバーにレクを実施するような「史跡ガイド養成講座」を開催してはいかがでしょうか。教育部長にお伺いします。
教育部長
史跡ガイド養成講座開催について、お答えいたします。
本市における城跡を含め史跡ガイドの設置については、現在設置の予定はございませんが、設置の必要性を含めて研究してまいります。また、茨城県における中世城館跡総合調査に関連する取組みにつきましては、今年度、鹿嶋市で開催されます、茨城城郭サミット県南・鹿行編(鹿嶋市)で1つの区切りとなることから、今後の県の動向も注視しながら調査研究してまいります。
今のご答弁で県の動向というお話がありましたが、可児市の例では岐阜県が周辺自治体を巻き込んで「東美濃の山城」という名称で観光資源に位置付けていることも大きな要素と言えます。このことからも、今後は県と一体になって城跡の活用を推進する方向になれば望ましいと考えています。
③先進地への視察研修の提案
先ほどから幾度となく可児市の事例を述べていますが、やはり百聞は一見に如かずということで、一つの提案として、このような先進地への視察研修を行うのはいかがでしょうか。
活動団体のメンバー何名かにお話を伺ったところ、視察研修があれば是非参加し、城跡の裏に隠れた活動団体の話を直接聞きたいとのことでした。
本市の関係者で、可児市等の先進地への視察研修を行えないか、教育部長にお伺いします。
教育部長
先進地への視察研修について、お答えいたします。
城館跡の利活用につきましては、茨城県を始め本市においても地域の資源としまして、関係部署との横断的な取り組みが必要になってくると考えますので、これからの取組状況により、先進地への研修なども可能と考えますが、現段階の状況におきましては、視察研修を実施する計画までは、至っておりません。
過去には平成31年11月に小場城跡保存隊が本市の友好都市である大館市に視察研修を行っています。この時は、慶長年間、西暦1600年頃に佐竹氏の秋田国替えで小場の地から大館に移った小場氏のゆかりの地を巡りました。また、この小場氏は秋田国替えの前には今のつくば市にある小田城に2年ほどおりましたが、現在小田城跡は国史跡であり、つくば市が土地を買い上げて復元して公園になっています。これは、小場氏ゆかりの地として官民で交流を深める意味でも重要なポイントです。このこと以外にも視察研修については、幅広くご検討いただければ幸いです。
(3)集中曝涼-令和7年度常陸大宮市文化財公開-
①全体的な総括
昨月、11月8日(土)と9日(日)の2日間、本市で集中曝涼が開催され、普段はお目にかかれない仏像や書物などを目当てに市内外から多くの方が訪れました。私も法専寺、阿弥陀院、文書館にお伺いしましたが、いずれの会場も歴史ファンで賑わいを見せていました。また、同時に開催された「小田野城と周辺の歴史探索ツアー」も大変好評であったと聞き及んでいます。
集中曝涼の全体的な総括について、教育部長にお伺いします。
教育部長
集中曝涼の全体的な総括について、お答えいたします。
曝涼とは、普段は倉庫等に保管されており一般に見学することが出来ない仏像や書物などを、天日により虫干しする日本古来の行事をいいます。本市ではこの機会にあわせ、所有者の方にご協力をいただいて、一般の方にご覧いただけるよう同日に集中して公開する事業として取り組んでおります。
本市の文化財集中曝涼は、令和2年度・3年度はコロナ禍によって中止となりましたが、令和4年度に再開して以降、毎回2,000人を超えるご来場をいただいております。
令和7年度は、11月8日・9日の2日間、14会場で開催し、合計2,700人にご来場いただきました。
公開会場数も昨年より2カ所増え、地域ボランティアやお寺や神社の関係者による説明や公開会場独自の催しも開催され、2日目が悪天候であったことにも関わらず、これだけの人数にご来場いただけたことは集中曝涼という事業が広く定着し、評価いただいているものと捉えております。
今ご答弁のありましたとおり、本市で集中曝涼の事業が定着してきたことは、関係する皆様のご尽力あってのことであり、深く敬意を表します。
本市の集中曝涼が開催される前の10月25日付茨城新聞に、茨城大学の高橋修教授が「『集中曝涼』の可能性」と題して寄稿されていました。同記事によれば、日本古来の行事である曝涼が現代に蘇ったきっかけは昭和63年の常陸太田市の事例だったそうです。さらには、今この試みが本県各地に広がりつつあり、さらには県外の文化財関係者の注目を浴びつつあるとのことです。集中曝涼は、多額の予算や追加的な施設は不要であり、ローコストで、なおかつ伝統的手法に基づくこの試みを是非今後も継続し、さらに発展していただければと思います。
②歴史関係のイベントにおける今後の本市のPR
一方で、(1)茨城城郭サミット県北編でも同様の問題提起をしましたが、集中曝涼に市外からも多数の人が来場したことを活かし、本市のPRを行うことができたのか、検証が必要です。
そこで、集中曝涼における本市のPRをどのように実行されたか、教育部長にお伺いします。
教育部長
文化財集中曝涼は、その性質上、車などで市内に点在する複数の公開場所を巡っていただくことを前提としており、そのため、集中曝涼のチラシには、休憩場所として道の駅常陸大宮、道の駅みわ、物産センターかざぐるまを紹介し、お立ち寄りいただくことを勧めています。
また、公開場所を巡るスタンプラリーも行っていて、スタンプを集めた方への景品として、泉坂下遺跡や西の内和紙、雪村など、当市の歴史や文化にちなんだ品物を用意し、より親しみを持っていただくよう取り組んでいます。
集中曝涼のチラシに一つのコーナーを設け、本市の観光拠点でもある、かわプラザ、北斗星、かざぐるまに誘導するような意識づけができたことは良かったと思います。しかしながら、今後は市外からの集客を見込めるイベントを企画する際には、実施部署が本市の広報を所掌する企画部と連携するなどして、本市に人を呼び込む観点から積極的なPRに努めるべきです。
そのような意味で、今回の集中曝涼で新たに『甲神社 集中曝涼・たどれば へたれば』が開催されたことは注目に値します。この『たどれば へたれば』は、甲神社の境内でいわゆるマルシェ、生産者と消費者が直接商品を売買するイベントを集中曝涼と同時に開催したものです。20軒の屋台が軒を連ね、アーティストのライブが開かれるなどしました。
甲神社の方のお話では、2日間での同神社の曝涼の来場者が昨年より100人ほど増加したそうです。2日目が悪天候であったことを踏まえると、かなりの成果と言えるのではないでしょうか。さらに詳しくお話を伺ったところ、コロナ禍の前まで開かれていた「だるま市」の賑やかさを復活させたい、さらには「大宮」の地名の由来になった甲神社を今の子育て世代にもっと知って欲しいなど、様々な願いが今回の『たどれば へたれば』に込められていたことを知りました。特筆すべきは、伝統文化を護り、継承していく立場にある甲神社が未来に目を向けて、新しい取組みを進めていることであり、大変勇気づけられた思いです。
再質問です。集中曝涼をはじめとする歴史関係のイベントにおいても、この『たどれば へたれば』のようなマルシェなどを活かし、新たに本市がブースを設置するなどして、総合的な本市のPRを積極的に行うことはできないでしょうか。教育部長にお伺いします。
教育部長
議員ご質問の歴史関係のイベントへの参加につきましては、多くの方が訪れる市内で開催される各種イベントにおいて、市の魅力を発信することは、イベントをきっかけに常陸大宮市を更に知っていただく絶好の機会でありますので、教育委員会に止まらず市長部局の関係部署とも情報共有を図り、全庁横断的な取り組みができるよう検討してまいります。
ありがとうございました。本市における史跡・文化財を新しい視点で活用いただくよう改めてお願いし、次の質問に移ります。
3 三美地区及び野口平地区における市道について
次に、市道についてお伺いします。
(1)太陽光発電設備の設置工事に伴う三美地内市道2‐08号線の損傷箇所の原状回復

市道2‐08号線は、三美地区と八田地区を結び、県道常陸大宮御前山線から広域農道ビーフラインまでを繋ぐ路線であり、地域住民にとって重要な生活道路になっています。
ところで、令和3年から現在に至るまで、三美地内で太陽光発電設備の設置工事が大規模に進められており、大型車やトレーラーがしばしば本路線を通行しています。この影響により幾つかの箇所で市道の損傷が発生し、一部の地域住民から不安の声が上がっています。
一例としては、本路線と三美地内市道21709号線の交わるT字路の路肩の一部損傷が見られます。これは、県道常陸大宮御前山線から本路線に侵入した大型車やトレーラーがこのT字路を使って車輌の向きを変えるため、その重さに耐えきれず道路の舗装が損傷してしまった可能性があります。
この件に限らず、本路線では舗装に傷みが出ている箇所が他にもあることが問題です。今後の太陽光発電設備の設置工事の推移を見据えつつ、工事業者への指導等も含め、しっかりとした原状回復が必要と考えます。
そこで、太陽光発電設備の設置工事に伴う三美地内市道2‐08号線の損傷の原状回復について、建設部長にお伺いします。
建設部長
太陽光発電設備の設置工事に伴う三美地内市道2-08号線の損傷個所の原状回復について、お答えいたします。
三美地区の太陽光発電設備の設置工事につきましては、令和3年から工事に着手され、現在も引き続き工事を行っている状況と承知しております。
議員ご指摘の市道2-08号線と市道21709号線の丁字交差点における道路損傷個所につきましては、令和3年に損傷が発生したため、開発事業者により敷鉄板による養生をしながら施工しておりましたが、令和5年に敷鉄板の撤去と合わせて仮補修を実施している状況でございます。
現在も開発事業が継続している状況でございますので、工事の進捗状況を把握するとともに、最終的に原状回復を行うよう指導を徹底してまいります。
ありがとうございました。引き続き現地の状況を注視していくことを申し添えまして、次に移ります。
(2)野口平地内「旗立て場十文字」の危険除去

野口平地内の通称「旗立て場十文字」は、北側に市道60477号線、南側に市道2-46号線、東西に県道那須烏山御前山線が走る道路の結節点になっており、同地域の交通の要衝です。さらに、先ほど述べた2本の市道については、地域住民が野口平公民館に行くために通行する頻度が極めて多いのですが、同公民館は災害時の1次避難所であり、選挙の際の投票所でもあります。
この旗立て場十文字は、現在信号機も横断歩道もないのですが、特に県道那須烏山御前山線を走行する車輌がスピードを出すことも多く、加えて見通しも悪いことから、過去に車輌同士の接触事故が数件発生しています。また、カーブミラーの設置はありますが、季節や気象条件によって、特に朝方・夕方は意味をなさないケースが多くあります。
このため、野口平区では書面の形だけでも平成21年、平成26年、平成27年の3回にわたり、信号機及び横断歩道の設置に係る要望書を市に提出しており、平成28年以降は当時の区長から口頭で市関係部署などに働きかけを行ってきたところです。長年にわたる懸案事項であり、様々な形で要望を出してきたにもかかわらず、一向に進捗が見られないため、地域住民から懸念の声が多く上がっているのが実情です。
私もこれまで大きな事故が発生していないのが不思議なほど危険な箇所だと認識しており、早急な対応が待たれます。
そこで、信号機及び横断歩道の設置という交通安全上の問題に関し、野口平地内旗立て場十文字の危険除去に対する本市の考えと今後の見通しについて、市民生活部長にお伺いします。
ます。
市民生活部長
野口平地内「旗立て場十文字」の危険除去について、お答えいたします。
ご質問の「旗立て場十文字」は、野口平地内の御前山フロイデガルデン東側、県道那須烏山御前山線の2つの連続するカーブの途中にあり、南北からの市道と斜めに合流する交差点です。
特に北側の市道60477号線、野口平公民館方面から県道に出る際に左右の見通しが悪いことは認識しております。
そのことから過去に複数回にわたり、野口平区からの要望書を添えて市から大宮警察署を通して茨城県公安委員会に対し信号機設置の要望書を提出しております。
しかしながら、交通量や歩行者横断の需要、交通事故の発生件数等が設置の基準に満たないことから、設置については優先順位が低く、困難であるとの理由で信号機は設置されておりません。
今後も引き続き地域の要望に沿って信号機設置を要望していくとともに、注意喚起の路面標示や看板の設置、横断歩道の設置、速度規制などができないか大宮警察署及び道路管理者と協議したいと考えております。また、ほかの箇所への信号機設置の要望についても地域の要望に基づき行ってまいります。
なお、信号機や標識については、市を通さなくても茨城県警察ホームページの「標識BOX・信号機BOX」から直接、意見や要望を電子メールで送信できるので、ご活用いただきたいとのことです。
ありがとうございました。今回取り上げた2件については、地域住民から高い関心が寄せられています。早期の対応を強く要望し、以上で一般質問を終了します。
以 上

