9月11日 【全文掲載】一般質問を実施しました!(令和6年第3回市議会定例会)

■一般質問を実施しました!(令和6年第3回市議会定例会)■

本日の市議会定例会において一般質問を実施しました。

1 有機農業による新しいまちづくりについて
 本市において特に現在進行形の話題、有機農業を今回のトップに持ってきました。支援者の方々のご協力をいただきながら、長い時間をかけて準備に取り組みました。もちろんこれが終わりではなく、今後も定年就農者による農業活性化の方策を粘り強く探り続けます。

2 子育て支援について
 2歳の息子と0歳の娘を育てる現役の子育て世代として、日々感じたことを一般質問に反映するよう心掛けました。常陸大宮が子育て世代にとってますます住みやすい街になるようにとの願いを込め、これからも同世代の声なき声に耳を傾けていきます。

3 市道の整備について
 6月の一般質問では県道について扱いましたが、今回は東野地区と八田地区の身近な生活道路を取り上げました。面積の広い本市ではなかなか難しい問題ですが、安全で便利な市道の実現のため、関係部局への働きかけを継続して参ります。

ご多忙中にもかかわらず、傍聴にお越しいただいた皆様に心から感謝申し上げます。
改めまして、地域の皆様方の思いや寄せられた期待に全力で応えられるよう努力したいと思います。

ここに一般質問の全文を掲載します。
引き続き頑張って参りますので、よろしくお願いいたします。


一般質問(令和6年第3回市議会定例会)

1 有機農業による新しいまちづくりについて

(1)本市が抱える耕作放棄地と農業後継者の問題について

 今回、農業関連の一般質問を進める前提として、本市の農業が抱える問題は大きく二つあると思います。
 第一に、耕作放棄地の問題です。本市を含む茨城県北部は、いわゆる中山間地域を多く抱えており、田畑は小規模のものが現実的です。このため、法人等による大口の農業はなかなか難しいものと考えます。そこで、切り口を変えて、定年退職者という個人にスポットを当て、耕作放棄地の解消と結び付ける必要があります。
 第二の問題は、農業後継者不足です。少子高齢化に伴い就農者の高齢化が深刻になっているかと思います。

 そこで、産業観光部長に、まず、本市における耕作放棄地の面積について、把握されている最新の数字をお伺いし、次に、本市の特産品である奥久慈なす、奥久慈ねぎ、そして枝物について、就農者の年齢別の最新データをお伺いします。

 産業観光部長
 本市が抱える耕作放棄地と農業後継者の問題について、お答えいたします。
まず、本市の耕作放棄地の状況でございますが、農業委員会が毎年行っている、農地法に基づく令和5年度農地の利用状況調査結果によりますと、農地総面積5,460haに対して、1,417ha、割合にして26%が荒廃農地となっている状況です。
 なお、農地総面積のうち、耕作農地は全体の49.2%の2,687haとなっており、この他には、常に維持管理がなされている保全管理農地が全体の20.1%で1,098haとなっております。
 次に、奥久慈なす、奥久慈ねぎ、奥久慈の枝物等の、作物別の年齢別就農者数につきましては、把握しておりませんが、市内の基幹的農業従事者における年齢構成につきましては、2020年農林業センサスによりますと、39歳以下が1.5%、40~69歳が31.7%、70歳以上が66.7%となっております。
 なお、新たに農業経営を営もうとする方のうち、45歳未満の青年等就農計画認定者の生産作物をみますと、ねぎ、枝物、イチゴにつきまして、生産を行う就農者が多い傾向となっております。

 今のご答弁のとおり、農地総面積の3割近くが耕作放棄地であり、また、大まかに言えば就農者の約7割が70歳以上ですから、状況の深刻さが窺えます。そこで、幾つかの提案をしていきたいと思います。

(2)有機農業における耕作放棄地の活用について

 まず、提案したいのが、耕作放棄地の有機農業のための活用です。
 
 ご承知のとおり、本市においては、令和5年11月5日に県内初のオーガニックビレッジ宣言を行い、市内での有機農産物の生産を加速化させています。来たる11月8日には「第2回 全国オーガニック給食フォーラム」が開催される予定であり、有機農業に関する取組が積極的に進められております。

 一方、有機農業で重要になってくるのが土地の選定の問題です。
 第一に、これまで農薬を使用してきたいわゆる慣行農業の農地については、その土地から農薬が抜けるまでに1~2年かかると認識しております。耕作放棄地であれば、ケースにもよりますが、基本的には農薬が抜けていることがメリットになります。
 第二に、隣接農地からの使用禁止資材の飛散などの問題も、周囲に慣行農地のない耕作放棄地であれば、クリアできる場合が多いかと思います。
 第三に、広い農地で有機農業を行う場合、かえって草取りが困難になることから、ある程度狭い農地の方が向いているかと思います。以上の三つの理由から、耕作放棄地を有機農業に活用する方向で検討していく余地があると考えます。
 
 現状、耕作放棄地を貸し借りする制度はあるかと思いますが、その活用は必ずしも進んでいるとは言い難い状況です。

 登録者数と利用者数、すなわち貸したい人と借りたい人を増やすための何らかの方策を本市としてお考えでしょうか。産業観光部長にお伺いします。

 産業観光部長
 有機農業における耕作放棄地の活用について、お答えいたします。
 現在、耕作放棄地を含めた未利用農地の有効活用を、農業経営基盤強化促進法に基づく「地域計画」策定のなかで、市内全域の地区ごとに、地域の地権者や担い手農家を交え、検討しているところでございます。
 また、農地中間管理事業におきましても、農地を貸したい人、借りたい人の相談を受け、その橋渡しを行い、農地の有効活用を図っているところでございます。
 このような中、今年度から、県補助金の「オーガニックステップアップ事業」を活用し、耕作放棄地を活用した有機農業の推進を図っており、あわせて、枝物や甘藷においても、耕作放棄地を活用した生産振興を図っております。
 このように、有機農業だけでなく、幅広く耕作放棄地を活用した農業振興を図っているところでございます。

 耕作放棄地の活用について理解しました。ちょうど本日9月11日付の茨城新聞1面に「農地貸借 本県1位」との記事が掲載されました。農地バンクによる貸し借りの面積について、関東と近辺の10都県で茨城県が1位だそうです。今後も貸したい人と借りたい人のマッチングを積極的に推進していただきたいと思います。

(3)常陸大宮市農業アカデミーについて

 有機農業・慣行農業にかかわらず、作物の栽培は経験やテクニックが必要であり、何も知らずに闇雲にスタートしても利益はなかなか上がらないと思います。簡潔で読みやすいマニュアルをまず作り、研修制度も充実させる必要があります。例えば、茨城県内には「いばらき農業アカデミー」等、農業の実務を学べる学校が幾つかあり、そこでは座学と実習が概ね半々の割合で実施されていると聞いております。

 本市で構想されている常陸大宮市農業アカデミーについて、現時点で大まかな実施方針等、決まっていることがありましたら、有機農業への関わり方も含め、産業観光部長にお伺いします。

 産業観光部長
 常陸大宮市農業アカデミーについて、お答えいたします。
 本事業につきましては、本市農業の担い手確保・育成を図るため、相談から就農までを、きめ細やかにサポートする事業として現在検討しているところでございます。
 具体的には、有機農業・慣行農業にかかわらず、本市において就農を考えている方に対し、就農場所、農地、生産品目、技術習得等に係る就農相談から始まり、実地における技術習得が必要な方には、市内での雇用就農先を斡旋し、技術習得機会を最長2年間設け、その後に独立就農を支援する流れを考えております。
 雇用就農先には、就農者が独立するために必要な、知識・技術が習得できるよう、研修計画を策定させ、計画的な実地が行われるようにするとともに、必要な研修機会を設けるための必要経費の一部を助成することを検討しております。
 これにより、就農希望者が、経営を開始するための資金の確保及び生産技術を習得しつつ、自身の経営体系・方針等に関して考える期間を設けることで、安定した経営の確立に寄与するものと考えております。

 常陸大宮市農業アカデミーの検討状況について理解しました。是非、的確な指導体制の構築を進めていただきたいと思います。

(4)定年就農者による有機農業の活性化について

 ここで一つの提案ですが、企業等を退職した60代の人によるいわゆる定年就農をもっと本市で実現できないでしょうか。
 
 定年を迎えた世代は比較的元気があって、時間的にはある程度自由が利くかと思います。また、子育て世代との違いは、65歳から年金がもらえるので、これをベースにして農業での収入をプラスするとダブルでの収入となります。しかも、一年365日ではなく、特定のブランド野菜等の時期だけ集中して働くスタイルも可能です。
 
 逆に言えば、定年退職後に年金受給者となり、実際に生活を送るうえで、年金収入のみでは心もとなく、プラスして年間で最低100万円は必要になると考えます。令和4年に行われた総務省統計局の家計調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯は月々の平均消費支出額が236,696円とのことです。これに税金や社会保険料の月々の負担額を考慮すれば、1か月に約27万円が必要になると考えられます。一方、令和4年度の厚生年金の平均受給額は、併給する国民年金の老齢基礎年金とあわせて、一人当たり月額143,973円でした。夫と妻の二人世帯とした場合、これを単純に2倍すれば先ほどの約27万円に到達するものの、余剰は多くありませんので、年金収入だけではやはり心もとないと言えます。有機農業が上手く軌道に乗れば年間100万円を稼ぐことは夢ではありませんし、冒頭に述べた耕作放棄地と農業後継者の二つの大きな問題の解決手段になり得ます。
 
 これまで本市がフォーカスしてきたのは、例えば年間の農産物販売金額が500万円以上の農家であるような気がしております。しかし、本当のボリュームゾーンはもっと下に位置するのではないでしょうか。

 そこで、本市の農家の農産物販売金額について、産業観光部長にお伺いします。

 産業観光部長
 定年就農者による有機農業の活性化について、お答えいたします。
 現在、本市では有機農業を推進しているところでございますが、有機農業は、栽培技術の習得だけではなく、販路開拓がより重要であり、学校給食における食材利用の他、専門商社等に対し販路開拓を進めているところでございます。
 有機農産物は、慣行栽培農産物に比べ、販売単価が高い傾向にあり、有機農業に取り組むことは、定年就農者で小面積において農業を営む方にとっては、年金プラスαの所得確保手段として、有効であると考えます。
 定年就農者は、農業全体、そして有機農業の振興を図っていく上で、多様な担い手の1人ではございますが、2020年農業センサスにおける農産物販売金額規模別経営体数をみますと、販売実績のある1,149経営体中、販売金額500万円以上が71経営体、300万円以上500万円未満が39経営体、100万円以上300万円未満が146経営体、さらに100万円未満が893経営体となっており、定年就農者の実状としましては販売金額100万円未満がボリュームゾーンになるのではないかと推測されます。
 なお、目標とする所得を100万円程度とした場合、販売金額は最低でも150万円から200万円程度が必要になると考えております。

 今のご答弁のとおり、定年就農者の実状として農産物販売金額のボリュームゾーンは100万円未満です。子育てにお金のかかる20歳代~50歳代にとっては、農業一本鎗ではなかなか難しいのが現状です。たとえ各種補助金が出たとしても、厳しいことには変わりはないと思います。若者世代の移住促進はもちろん重要ですが、定年就農者をターゲットにしたPR活動に徐々にシフトする必要があると考えます。
 
 これまで本市では「農ある暮らし体験プログラム」として、移住・定住促進のための農業体験を実施してきました。例えば、昨年度は10月7日~9日の2泊3日で、市外からの参加者が実際にトマトやさつまいもの収穫をしながら、農業者との交流を通じてリアルな農家暮らしを体験したと市のホームページで報告されています。

 そこで、再質問です。定年就農者を本市に呼び込むPR活動の現状について産業観光部長にお伺いします。

 産業観光部長
 ご答弁申し上げます。
 定年就農者を呼び込むPR活動の現状ということですが、定年就農者のみをターゲットとしたPRは行っていない状況にあります。
 ただし、定年就農者にすべてが該当するものではありませんが、市ホームページにおいて「新規就農支援」について、支援内容等を掲載しております。
 具体的には、農業を始めたい方・興味のある方に対する「就農相談」、農業を始めるに当たっての技術や知識の習得にあたり必要となる「研修機関の紹介」、独立・自営就農へ向けた「各種制度」や認定農業者・認定新規就農者・農業等関係団体に対する「補助事業」、具体的な就農地についての「相談・諸手続」等について情報を掲載しており、現状といたしましては就農を希望する方が各々該当する支援について問い合わせ等をいただくことになります。
 いずれにしましても、定年就農者を含む新規就農者を呼び込むという点では積極的なPRにはなっていないことから、今後PR方法等について検討して参りたいと思います。
 なお「農ある暮らし体験プログラム」は、令和3年度から定住推進課が実施している移住体験事業として実施した事業のひとつで、「農業」をテーマとした移住体験ツアーは、令和3年度、令和4年度に各1回、令和5年度に2回の計4回実施しております。各回10名程度の参加者でしたが、そのほとんどが家庭菜園などを考えている方で、本気で就農を考えている方は参加されなかった状況から、今年度は「農業」をテーマとした体験ツアーについては不実施としたところでございます。

 今年度「農ある暮らし体験プログラム」が実施されないことは非常に残念です。やはり移住体験ツアーに農業を組み込むことが必要と考えます。自らの経験談を移住・定住希望者にお話ししたいという市内在住の定年就農者がおり、先日具体的な相談を受けたところです。是非、ご答弁のとおり新規就農者を呼び込むPR方法を柔軟にご検討いただければ幸いです。

(5)新規就農者の初期投資に係る負担軽減について

 新規就農にあたっては初期投資の問題があります。普通、新規就農する場合は、トラクター等の機械、倉庫、コンテナをはじめ、最低でも1,000万円程度かかるということを農家の方から伺ったことがあります。
 
 この解決のためには、既存の農家から農地や機械・設備を引き継ぐ形がベストだと考えます。単純な譲渡を受けるのではなくして、トラクター等の維持管理費は複数の就農者でシェアして応分の負担をする。あるいは、いわゆる「うなる」作業を引き受けて、役務の提供で対価を支払うのも一つの案です。

 そこで、新規就農者の初期投資に関連して、財政的な補助を受けられる制度の現状について産業観光部長にお伺いします。

 産業観光部長
 新規就農者の初期投資に係る負担軽減について、お答えいたします。
 現在、49歳以下の新規就農者に対する支援としまして、国事業の「新規就農者育成総合対策」において、施設・機械の導入費や農地の借地料・機械のリース料等に活用できる「経営開始資金」の交付制度がございます。
 また、定年就農者を含めた多様な担い手への支援といたしまして、諸要件はございますが、機械・施設整備や資材等購入等に係る費用補助として、国・県事業の他、市単独事業において補助制度を設けているところでございます。
 しかしながら、ご提案を頂きましたような内容で、尚且つ年齢に関係なく就農するために必要な補助金の交付制度等につきましては、国・県において直接的に該当するものが無く、また本市単独事業としても現段階において検討はしておりません。

 今のご答弁のとおり、国の「新規就農者育成総合対策」では、49歳以下の新規就農者が対象となっており、対象外となってしまう50歳あるいは60歳以上の新規就農者に対する支援は、市町村が行わなければならないと考えます。

 例えば、令和6年5月6日付の日本農業新聞に「定年帰農の呼び水に U・Iターン給付金創設 徳島県佐那河内村」という記事が出ていました。同記事によれば、佐那河内村では、村へUターン・Iターンしたシニア世代の新規就農者50~66歳を対象に、最大2年間、1年目は100万円、2年目50万円を給付するとのことです。事業費は300万円ということで、初年度は3人程度の受け入れを想定しているわけです。本市も予算が厳しい状況ですので、まずは人数を限定して、同様の制度を導入することを提案します。

 シニア世代の新規就農者に対する支援は考えていないか、産業観光部長にお伺いします。

 産業観光部長
 議員の紹介された徳島県佐那河内村の取り組みは、大変素晴らしいものと認識をしております。
 しかしながら、同村の行う定年就農者を対象としたU・Iターン給付金制度につきましては、主な給付要件として、令和6年4月1日以降の転入者で村外に5年以上住民票があった方、などの居住要件の他、「認定新規就農者または認定農業者」であること、独立・自営就農して5年後には生計が成り立つ計画であること、村が作成する地域計画に担い手として位置づけられていること等の要件がございます。
 これは居住要件を除き、概ね49歳以下の新規就農者が受給できる「経営開始資金」の交付制度と同様の要件となっており、また、病気や災害等のやむを得ない事情を除き、1年以上の休止期間が生じた場合に給付金の返還が発生するなど、かなりハードルは高いものと思われ、同村では本年4月制度創設以来、問い合わせはあるものの、現時点で該当者はいないということでございました。
 本市における定年就農者への支援を考えた場合、例えばJA常陸の枝物やねぎ、ナス部会等各種JAの部会または各直売所の生産部会へ参加いただくとか、既存の営農組織に加入していただくか、定年就農者による持続可能な営農組織等を設立していただけるのであれば、団体への補助を通じ間接的ではありますが支援できるものと考えております。

 徳島県佐那河内村の取組の現状について理解しました。個人に対する直接的な支援の難しさを踏まえつつ、他の市町村を参考にしながら、定年就農者に対して本市が取るべき具体的な支援策を今後も模索してまいります。

(6)有機農業を次世代に繋ぐ新しいまちづくりについて

 今回のタイトルにある「有機農業による新しいまちづくり」とは、一言で表現すれば循環型農業継続システムです。子育てにお金のかかる20歳代~50歳代には、農業は難しいと思います。そこで、子育ての終わった定年就農者が、年金を生活費とし、年金不足分のお金を農業で稼ぐ、言わば「年金プラスα」による農業の維持を提唱します。これは、既にJA常陸の奥久慈枝物部会なす部会の会員が本市で実践されていることでもあります。

 60歳代で定年就農をし、約10年間農業を営んだ後、70歳代で離農します。離農する際は、(5)で述べたように、新規就農者の負担軽減を踏まえつつ、土地や機械・設備を売るか貸与するかして、第三者に農業を継承します。これが循環型農業継続システムです。
 また、定年就農者が作った無農薬の米や野菜を自らの子や孫に食べさせる。このことが高齢者に差し掛かる年代にとって大きなモチベーションにもつながります。
 
 さらには、コロナ禍を契機としてテレワークという新しい勤務形態が生まれ、必ずしも毎日職場に出勤する必要のない企業等も少しずつ増えてきました。有機農業の美味しい米や野菜を食べて育った子や孫たちが、そのようなテレワーク勤務をしながら、空いた時間で父や祖父の育てた田畑を耕し続けることも夢ではないと思います。定年就農は次世代に有機農業を繋いでいく効果を発揮する可能性があります。
 
 本市に定年就農者を呼び込むためには、いかにご褒美、特典を与えられるかが重要です。

 そこで、例えば、有機農業の認定のための費用を市が負担する制度はありますか。産業観光部長にお伺いします。

 産業観光部長
 有機農業を次世代に繋ぐ新しいまちづくりについて、お答えいたします。
 本市では、オーガニック給食の実現を施策目標に、現在、有機農業の推進を図っているところでございます。
 議員からご提言のありました、「無農薬の米や野菜を自らの子や孫に食べさせる。このことが高齢者に差し掛かる年代にとって大きなモチベーションになる」。まさにその通りであると思います。
 地域の子どもたちが食べる学校給食食材を、地域の方が有機農業で生産し、地域で生産された有機農産物を子どもたちが学校給食で食べる。これは、ご質問の“次世代に繋ぐ”精神であると思います。
 本市といたしましても、オーガニック給食実現のためには多様な担い手が必要であると認識しており、多くの生産者が有機農業に取り組みやすいよう、市単独補助事業として令和4年度から、有機JAS認証取得に係る補助制度を創設し支援をしているところです。また、令和5年度からは、県事業でも、有機JAS認証取得に係る補助制度が創設されたところですが、面積要件等に合致しない場合があるため、県事業に該当しない生産者については、市事業にて支援を行っております。

 ありがとうございました。農業を取り巻く環境を改善するためには、これまでの考え方を変える必要があります。市外から定年就農者が転入すれば、市内の消費活動が活発になり、ひいては本市全体が活性化します。もし税収が増えることになれば、この税収増分をもとに定年就農者への補助金を手厚くしていき、これによって更に定年就農者を本市に呼び込むことができれば、さらに市民が豊かになっていく好循環が生まれます。
 
 また、有機農業のみならず、担い手不足、高齢化が問題になっている奥久慈なす、奥久慈ねぎ、枝物等の慣行農業についても定年就農、第三者継承は有効な解決策になると考えます。
 今後もこの問題については、関心を寄せて対応していくことを述べまして、次の質問に移ります。

2 子育て支援について

(1)こどもセンターについて

 ①概要
 本市においては、「子供を取り巻くあらゆる環境・課題を視野に入れ、子供を誰一人取り残さずに社会的自立まで切れ目のない支援を行う」ことを目的として、令和4年4月にこどもセンターが設立されました。これは、妊娠期から出産・子育てまで一貫した切れ目のない相談支援体制の充実を図っていくための意欲的な取組だと思います。私は去る7月4日に同センターを訪問し、職員の方々から話を伺ってきました。

 改めてこどもセンターの概要について、保健福祉部長にお伺いします。

 保健福祉部長
 こどもセンターの概要について、お答えいたします。
 こどもセンターは、市内在住のすべてのお子さんとその家族を対象に、妊産婦・子ども及び子育て世帯に関する相談・支援を総合的かつ専門的に行うことを目的に、令和4年4月に開設し、運営しているところでございます。
 事業内容につきましては、妊娠期から子育て期にわたる総合的な相談支援を行う『子育て世代包括支援センター事業』、虐待やネグレクトなどを防止するための『子ども家庭総合支援拠点事業』、ゼロ歳からおおむね3歳までのお子さんとその保護者の交流の場を提供する『地域子育て支援拠点事業』、発達の気になる子どもやその保護者への相談支援を行う『子ども療育支援事業』の4つの事業を実施しております。
 また、事業を実施するにあたりましては、公認心理師、言語聴覚士、保育士、家庭・教育相談員等の専門職員をこどもセンターに配置し、個々の相談内容に応じた支援体制を構築するとともに、関係機関と連携しながら、こどもとその家族に寄り添った相談支援等を一体的に実施しているところでございます。

 今のご答弁をお聞きして、様々な資格を持つ専門スタッフが充実していることが印象的です。やはり、せっかく専門家が揃っているのですから、こどもセンターを利用いただかない手はないと思います。

 ②利用実績
 これまでこどもセンターとしては、市の広報やSNSを用いた宣伝・周知、「こどもセンターだより」の発行等、利用者を増やすための努力をされてきたかと思います。

 そこで、これまでの利用実績について、保健福祉部長にお伺いします。

 保健福祉部長
 利用実績について、お答えいたします。
 開設初年度となります令和4年度の延べ利用人数は、3,813名、令和5年度は、5,135名、令和6年度は7月末時点で1,607名となっております。
 また、1か月間の平均利用人数につきましては、令和5年度は428名で、令和4年度の318名から大きく増加しております。
 今後につきましても、関係機関と連携を図りながら、こどもセンターの周知に努めるとともに、すべての子育て家庭に寄り添った相談支援に取り組んで参ります。

 今のご答弁のとおり、利用実績は増加傾向にありますし、こどもセンターを必要としている方々は決して少なくないと思います。

 ③今後の取組
 発足から2年あまりが経ち、こどもセンターとして運営する中で幾つか改善点等が見つかってきたところかと思います。

 今後どのような新しい取組をしていく予定か、保健福祉部長にお伺いします。

 保健福祉部長
 今後の取り組みについて、お答えいたします。
 こどもセンターでは、先程ご説明いたしましたとおり、妊娠期から子育て期にわたる総合的な相談支援、虐待やネグレクトなどの防止やその対応、発達の気になる子どもやその保護者への相談支援等を実施しているところでございます。
 今後の取り組みにつきましては、養育環境に課題を抱える家庭や学校に居場所がない児童に対する、居場所となる場の開設に向けた支援など、妊産婦と子ども・それぞれの家庭の課題やニーズに対応できるよう母子保健・児童福祉それぞれの専門性を活かした、包括的な支援の拡充を図って参りたいと考えております。

 引き続き新しい取組を進めていただければと思います。

(2)子育て支援関連イベントの土日祝日開催について

 私も妻の第一子の妊娠中に体験したのですが、本市には妊娠中の夫婦を対象にした「マタニティ教室(プレパパママ教室)」という制度があります。これは、妊娠週数が28週から33週頃に、総合保健福祉センター「かがやき」で実施されており、赤ちゃんの人形を使って抱っこの仕方を教えてもらいつつ、実際に沐浴させる体験をし、赤ちゃんを育てるための食生活や生活リズムについて学べる貴重な場です。また、希望者には父親のマタニティ体験のコーナーもあり、約10キログラム前後のおもりの入ったスーツ「妊婦体験スーツ」を私も2年前に着用しました。これらは、子育て支援の一つとして有意義なプログラムだと思います。

 しかし、現在このマタニティ教室は、平日のみの開催になっています。私と同世代のある母親から聞いたのですが、予約の際に「旦那さんも是非教室に参加して欲しい」と言われ、いざ開催日時を見ると平日しかないのでガッカリしたとのことです。私の場合は仕事を休んで参加しましたが、夫婦で学べるせっかくの貴重な体験教室ですから、仕事を休まなくても参加できるようにすべきと思います。

 マタニティ教室に父親が参加することで、出産及び産後の大変さを身をもって体験することができ、父親の当事者意識が生まれることで、この後述べる産後うつ病の予防にも繋がると考えます。やはりマタニティ教室は、父親が意識を変える重要なファーストステップであり、多くの夫婦が参加できることに意義があります。
 
 さらには、幅広い層にこどもセンターを利用していただくためにも、マタニティ教室に限らず、平日のみ開庁というスタイルを少しずつ改めて、土日祝日にも子育て支援関連のイベントを開催すべきではないでしょうか。

 そこで、マタニティ教室は平日と土日祝日のミックスで開催すること、さらには、限定的でもいいので土日祝日にも子育て支援関連のイベントを開くこと、以上二点について検討の余地があるか、保健福祉部長にお伺いします。

 保健福祉部長
 子育て支援関連イベントの土日祝日開催について、お答えいたします。
 はじめに、「マタニティ教室」につきましては、妊婦とその夫が、育児手技や妊娠中の体の変化、産後うつ病の予防等について学び、産後の具体的な生活をイメージし、夫婦で協力して育児に取り組む意識付けを図ることのほか、妊娠中及び授乳期に必要な食事量を確認し、生活リズムや食習慣等を振り返る機会とするなど、家族の健康づくりを支援することを目的に実施しております。
 次に、「子育て広場講座」や「親向け講座」につきましては、子育て中の親子の交流等を促進するほか、子育ての不安感等の緩和やこどもの健やかな育ちを支援することを目的に、実施しております。
 マタニティ教室の一部土日祝日の開催や、子育て支援関連イベントの土日祝日開催につきましては、子育て世代の実情にあわせた開催ができるよう、ご要望等をお聞きしながら、検討して参ります。

 子育て支援の更なる充実のために、是非ご検討いただければと思います。

(3)産後のケアについて

 最近、産後うつ病という言葉をニュースで見かける機会があります。気分の落ち込みや楽しみの喪失、自責感や自己評価の低下などを訴え、産後3か月以内に発症することが多いと言われています。出産により家庭の生活リズムが大幅に変わることは、私自身、実感があります。
 
 母親のみならず父親が産後うつ病にかかるケースもあります。国立成育医療研究センターが令和2年に発表した調査によると、産後一年間で精神的な不調、産後うつと判定された父親は11%で母親とほぼ同じ水準であることが報告されています。とにかく産後は、赤ちゃんを育てる両親にとって、肉体的・精神的に大変な時期が続くため、何か調べものをするような余裕がないこともあります。また、最近出産したある母親の話では、母乳のことや体調・メンタルに関する情報や指導の手厚さについて、産婦人科病院ごとに差があるとも聞きます。
 
 産後うつ病の発生抑止のため、例えば、希望制・有料でも構わないので、産前に講習を開催するのはどうでしょうか。

 そこで、産後うつ病に対する本市の取組状況について、保健福祉部長にお伺いします。

 保健福祉部長
 産後のケアについて、お答えいたします。
 産後は、出産後の母体が回復していない時期に、慣れない育児や家事等で心身の不調が多く現れやすい時期となっており、産後ケア事業や助産師・保健師等による相談事業等において支援をしているところでごいます。
 その中でも、議員ご質問の産後うつ病は、抑うつや意欲の欠如、睡眠障害等多くは出産後に発症すると言われており、発症の背景としまして、うつ病など精神疾患の既往歴や産後におけるホルモンバランスの急激な変化など、心身の変化に伴うことのほか、パートナーや家族からのサポート不足など、育児環境による影響も大きいとされています。また、妊娠中からうつの症状が現れることも少なくないため、妊娠中から支援を行う必要があるとされております。
 本市の取組でございますが、妊娠届出時に、母子保健コーディネーターとの面談において、丁寧に話を聞き取り、支援が必要な方には妊娠中から医療機関と連携しながら訪問等による支援を行っております。
 また、出産を控えた妊娠8か月頃には、すべての妊婦に対して電話相談等を行い、不安の解消に努めているところでございます。
 さらに出産後は、医療機関での産後2週間及び産後1か月健診において、母体の回復を診察するほかエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)を用いたスクリーニングを行うとともに、医療機関から支援が必要であると情報提供があった場合には、医療機関と連携した早期介入による支援体制をとっております。
 父親の産後うつ病に対する取組につきましては、妊娠届出時に配付しております市独自に作成しました父親向けの冊子「パパフレBOOK」に、父親の産後うつ病についての情報を掲載し周知するとともに、マタニティ教室においても、母親だけでなく父親も産後うつ病になることがあること、お互い頑張りすぎず、協力しながらの子育てが大切であることなどをお伝えしております。
 今後につきましても、引き続き様々な事業や機会をとおして、母親とその子どもだけでなく、家族全体の心身の健康を支援することができるよう努めてまいります。

 ありがとうございました。父母を含め、産後うつ病についての事前の知識の有無が、周囲の協力体制に影響し、ひいては産後の家族の体調・メンタルに差が出る可能性があります。そして、産後をいかに不調なく乗り切ったかどうかで、次の子供を設けるか決まる面もあると思います。
 
 また、本市で実施される産後の保健師面談の機会は大変ありがたいのですが、寝不足の状態で、話がそこまで頭に入ってこないという、ある母親の体験談も聞きました。とはいえ、全てに配慮することは不可能ですので、特に命に直結するようなテーマ、例えば予防接種に関する説明は、出産前、妊娠中にその機会を設けることも一案かと思います。
 
 常陸大宮が子育て世代にとってますます住みやすい街になるようにとの願いを込めて、次の質問に移ります。

3 市道の整備について

 次に、市道の整備状況についてお伺いします。

(1)市道21226号線の東野地内の整備と今後の見通しについて

 市道21226号線は、東野地内国道293号交差点から八田地区を結ぶ市道であり、その沿線には御陣屋団地(正式名称:グリーンヒルズ大宮・御陣屋)があり、沿線住民は基より東野地区・八田地区における重要な生活道路として、多くの市民の方が利用されております。

 しかしながら、起点側国道293号から玉川に架かる御陣屋橋までの約150メートル区間は、道路の幅が狭く、車輌相互通行に支障をきたしております。また、歩道もないことから大宮北小学校や大宮中学校の児童・生徒が通学に利用する際には、通過する車輌と近接し、大変危険な状況となっており、一刻も早い整備を必要とする路線と思われます。

 市道21226号線の本区間に対する整備計画の考えと今後の見通しについて、建設部長にお伺いします。

 建設部長
 市道21226号線における東野地内の狭隘区間について、お答えいたします。
 議員ご指摘の国道293号交差点から玉川に架かります御陣屋橋までの約150メートル区間につきましては、これまでも地元区等の方々から整備要望を受けており、整備計画の検討を行ってきたおりましたが、関係者との合意形成に至らず、現在まで整備が進められずに現況にとどまっている状況にあります。
 しかしながら、一昨年度より地元区長等と情報交換や意見交換を行わせていただき、整備に向けた取り組みを本年度より実施して行くこととしております。
 本年度においては今後の整備に必要となります道路線形の検討や地形等の測量を実施していく計画となっており、資料等がまとまり次第、地元関係者の皆様への説明会を通じ意見交換を行っていくこととしております。

 市道21226号線の整備は、利用される方々だけでなく、地域間の交流促進や安全性向上に寄与し、多くの市民の方にとって大変重要な路線であると考えておりますので、引き続きの整備促進を期待し、次に移ります。

(2)市道21480号線の八田地内の整備と今後の見通しについて

 市道21480号線は、八田地区を東西に横断し、地域市民の重要な生活道路として利用されています。地域の方からお聞きしたところ、本路線と連絡している市道2-8号線までは、町村合併前に道路側溝等が敷設され道路整備が進められたが、排水路上流にあたる本路線の整備は行われず今日に至っており、これまでも市関係部局に対し、排水路と併せ道路整備を要望してきたと伺っております。

 昨年度より当該路線の調査等が実施されているようですが、これまでの経緯と取組状況と今後の見通しについて建設部長にお伺いします。

 建設部長
 八田地内市道21480号線整備について、お答えいたします。
 議員からありましたとおり、市道21480号線は八田地内市道2-8号線交差部から西側へ延長約1キロメートルの道路であり、周辺市民の方々の生活道路として、また隣接する耕作地へのアクセス道路としてご利用されていると認識しております。
 本路線の整備に関するこれまでの経緯でございますが、合併前の旧町時代に現在の市道2-8号線と市道21480号線(当時は町道1-6号線と町道5494号線)は町道整備として計画がされ、現在側溝等が敷設されている区間の整備が進められましたが、整備計画区間内の一部用地に関して相続等の諸課題があり、用地取得が出来ず、やむを得ず事業休止とした経過でございます。その後、地元区長をはじめ地域の方々より改めての整備要望等を受け、当時課題となっていた用地に対する諸課題等の解決がなされていることが確認できたことから、昨年度、改めて整備事業を実施することとし、測量等の作業を行っているところです。
 今後についてでございますが、本年度におきまして整備に必要な設計等を行うと共に、用地取得に向けた作業等を実施することとしており、関係者の方々への説明や合意形成に努め用地取得後においては、速やかに整備工事に着手してまいりたいと考えております。

 ありがとうございました。改めて東野地区及び八田地区の市道について、早期の整備完了を強く要望し、以上で一般質問を終了します。
                                        以 上